実行委員長
故 恒成 茂行 氏

(熊本大学名誉教授・法医学)
 熊本大学名誉教授恒成茂行先生におかれましては、去る平成21年8月27日にご逝去されました。先生は永く熊本大学医学部の法医学教室を主宰されてきましたが、昨年3月にご退官後は、社会貢献としてこの日本子ども虐待防止学会第16回学術集会くまもと大会の開催準備に精魂を傾けてこられました。昨年12月にご病気が発覚した後も他の仕事は断って、精力の続く限りこの仕事に没頭されてきました。
 恒成先生の子どもの虐待防止への思いと本学術集会くまもと大会への熱意を引継ぎ、実行委員一同、これからも邁進したいと思っております。ご冥福をお祈りいたします。
 この度、「未来を歩む子ども達を守ろう!」をメインスローガンとして、日本子どもの虐待防止学会第16回学術集会くまもと大会(JaSPCAN in Kumamoto 2010)が熊本県立劇場を会場として、平成22年11月26日(金)のプレ企画、11月27日(土)の学会第1日目、11月28日(日)の学会第2日目が学術集会長 熊本学園大学山崎史郎教授によって開催されることになりました。
 ところで、私は法医学の専門家として、沖縄県警察本部法医学顧問をしていた昭和58(1983)年に米軍人と沖縄女性との間の女児虐待死の法医解剖を執刀いたしました。その際に、米軍のMSW(Medical Social Worker)と出会い、法医学者として虐待死亡児の死因の究明や受傷機転の解明のみでは不十分であり、法医学の立場からも子どもの虐待防止に貢献できることに気づかされました。それ以来、欧米の法医学者との交流を通じて、子どもの虐待防止活動は法医学の新たな活動領域であることを強く認識するようなリ、それをこの20数年間に亘って実践して来ました。また、日本子どもの虐待防止学会には平成8(1966)年の第2回大阪学術集会から参加してきました。 平成20(2008)年3月末日に熊本大学を定年退職して、法医学活動からはやゝ疎遠になりましたが、子どもの虐待防止コンサルテーションチームくまもとの活動や熊本市と熊本県の「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」の検証委員として子どもの虐待の諸問題と深い関わりを持っています。そこで、日本子どもの虐待防止学会第16回学術集会くまもと大会(JaSPCAN in Kumamoto 2010)の実行委員長として学術集会の準備、運営に携わることになりました。この役職は、現在大病を患っている私にとっては恐らく人生最後の社会貢献になるのではないかと思いますが、本学術集会の成功に向けて皆々様方の満々のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。